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遅いWebサイトでいらいらする

Webサイトの遅延は「人気の証拠」ではありません

2022年3月30日
著者: 竹洞 陽一郎

「タイパ」(タイムパフォーマンス)という言葉をご存じですか?
私は、2022年2月12日の日経新聞「令和なコトバ『タイパ』 Z世代、お金より時間を節約」という記事で知りました。
そう言われてみると、確かに、時短テクニックを紹介するTV番組や雑誌、動画などが大人気です。

一般的に、タイパが良い高速なWebサイトが人気がありますが、世の中には、そのように考えない人もいるようです。

遅いWebサイトは「人気の証拠」?

先日、とある打ち合わせでの事。
とあるWeb制作・管理会社が、顧客がTV番組などで取り上げられる時には、番組終了時にWebサイトの表示速度を故意に遅延させて、アクセスが殺到して人気があると思わせるようにしているという話を伺いました。
私は、唖然としてしまいました。

過去にも、「遅いサイトは人気の証」と仰っている人に出逢った事がありますが、もう過去の話で、今はそんなことを考える人は居ないと思っていました。
残念な考え方ですし、顧客がそう思っていなくて、そのWeb制作・管理会社がそのような提案をしているとしたら、アブナイ会社です。

「気になった事、覚えてますか?」

皆さんは、TV番組で興味を持ったお店などのWebサイトにアクセスして繋がらない場合に、時間を置いて、再度アクセスしますか?
「買いたいときが買い時」と言われたりしますが、企業からすれば「お客様が欲しいと思った時が売り時」ですよね。
それは、どうしてでしょう?

何か気になった事は、脳のワーキングメモリーに入り、短期記憶で扱います。
短期記憶の保持時間は数十秒と言われていて、情報は時間の経過とともに忘れられます。
記憶するべき項目を何度も呼び起こすことにより、忘却を防いだり、長期記憶に転送したりすることができます。

この何度も記憶を想起させることを、心理学では「リハーサル」と呼びます。

維持リハーサル
短期記憶を保持するリハーサル
精緻化リハーサル
長期記憶に転送するリハーサル

皆さんも、専門用語を知っているかどうかは別として、ご自身の体験を基に、理解されているのではないでしょうか?
TVショッピングで電話番号を覚えやすい語呂合わせのものにするのは、短期記憶をしやすくするためですし、リターゲティング広告は長期記憶へと移行させるためですよね。

私達の生活する環境、働く環境は、情報過多が進む一方で、気を抜くと、自分が次に何をしようとしていたかを忘れてしまう事もちょくちょくあります。
脳のワーキングメモリーは、睡眠時間が短くなったり、疲労が蓄積すると、どんどん小さくなってしまいます。
日本人の睡眠時間は年々短くなっているので、短期記憶で使える脳のワーキングメモリーは縮小傾向にあるようです。

厚生労働省 平均睡眠時間の推移(15歳以上)

コロナ禍以後は、在宅勤務や飲食店の営業自粛の影響もあってか、睡眠時間は少し長くなってきているそうです。
「2022年度版日本の『睡眠偏差値®』調査結果報告世界一睡眠時間が短い日本の睡眠時間が3年で21分増加。睡眠ガジェットの利用率は4.3%に留まるが、日本のスリープテック市場は成長の余地あり。」

高速なWebサイトは一期一会を大事にしている

WebサイトでのPV数や売上を更に拡大させたいのであれば、レスポンスが良いサイトに高速化されることを強くお勧めします。
アメリカやヨーロッパの企業が、まず最初に注力するのが、Webパフォーマンス(表示速度)です。
例えば、Appleが新商品を発表してアクセスが増大しても、Webサイトが遅延して表示が遅いという体験をしたことはないですよね。

高速でタイパが良いサイトは、快適な顧客体験を提供し、それがブランド力を向上させます。
お客様が興味を持って頂いた時に表示が素早くできなければ、買って頂くチャンス、知ってもらうチャンスを失います。
そのお客様が、再訪してくれる保証はないのです。

高速なWebサイトは、お客様との一期一会を大事にしているサイトと言えます。
遅いサイト、繋がりにくいサイトは、お客様にとって、単にシステム周りが弱い企業でしかないのです。