株式会社Spelldata

〒100-0004
東京都千代田区大手町一丁目7番2号
東京サンケイビル27階
Tel: 03-3242-3150
Fax: 050-3488-8836
営業時間: 土日・祝日を除く 9:00〜17:30

着物姿の女性

日本のWeb制作業界の課題はこれだ!
第3回

2018年2月26日
著者: ベテランWeb担当者 H

※この記事は、匿名を条件に、現在、大手メディアサイトでWeb担当者を務めていらっしゃる方から寄稿頂いた記事です。

前回、前々回と、日本のWeb業界に対する私の持論を述べさせていただいたが、今回はWebの品質を考える上でも必要不可欠な「おもてなし」について、私の経験をもとにその歴史的遷移を含めて指摘してみたい。

2020年の東京オリンピック招致において、日本は全世界に向けて「日本のおもてなし」をプレゼンテーションした。
その後、当事者の中心にいた東京都の知事職にいろいろあって、国内ではすっかりトーンダウンした雰囲気だが、サービス業やコンシューマー向け製造業、そして、Web業界では顧客満足度の向上やUX改善など、当たり前に改善に取組んでいるのが現状と感じている。
そして、それはたいへん喜ばしい傾向だと心底感じている。

顧客満足度の向上やUX改善がビジネスに貢献する事に疑いの余地はない、という共通理解がWeb業界では定着したのではないだろうか。

そもそも「日本のおもてなし」とは?

オリンピックのプレゼンでも、一般的な日本人として思い浮かべるのは「有名旅館の(至れり尽くせり)接待」ではないだろうか。

「おかみさん」に代表されるこの種の卓越した接待の根源は、「信用型取引」ではないかと私は考える。
信用型取引は、私が社会人になったころはあたりまえの日本的ビジネス文化で、欧米流の「契約取引」とは対照的なものだ。
その都度の取引時には、細かい条件や価格の交渉は行わず、相手の足元を見たりもしない継続的ビジネスと私は理解している。

したがって、相手は「お得意さん」または「お得意さんにしたい相手」すなわちリピーターやロイヤルカスタマーとその候補である。
サービス業にしてもBtoBにしても、購入側より販売側の方が、圧倒的に商品やサービスの情報を多く持ち、買い手側からすると必要以上に値切ったりすると、見えないところで品質を落とされたり価格を上乗せされたりするリスクが生じる。
一方で、売り手側とすると、信頼関係を樹立して人間関係まで作り上げれば、継続的な取引が期待でき、競合から少々好条件を提示されても顧客を失うリスクが少ない。

こうして、結果的にwin-winの関係が出来れば、双方ともにそれを継続していく事を努力する、というような商業取引形態ではないだろうか。

しかし、バブル崩壊以降の日本経済は、諸外国からの門戸開放や外資系企業の参入、ビジネスの国際化などで、昨今、いたずらにこの信用型取引をもちだせば、上司に叱責を受ける結果になりかねないので、今では私も後輩に奨めることはない。

信用型取引のデメリット

昭和の時代までは、こうした信用型取引がビジネスの主流だった訳だが、これにはデメリットもあった。
「一見(いちげん)さん」という言葉に代表されるように、お得意さんまたは候補になっていない場合の取引は、断られたり、冷遇されたりというリスクがあった。

また、一度信用を低下させた場合に、取引相手やその周辺との取引が困難となりリカバリーに多くの努力と時間が必要となった。
新規取引も同様に難しさがあり、大企業同士でも新規取引のハードルは高く、今風にいうスタートアップなどは、さらに大変という土壌であった。

地方では今でも信用型取引が多く生き残っており、私は地方出身なので、帰省時に地元の従弟などと話をすると「親の代から築いた信用を大切に守っている」というような話を耳にする。
これ自体は良い事と受け止めるが、地域やコミュニティのよそ者、新参者排除に根本では繋がりデメリットとしての面もあると思う。

スタートアップやベンチャーなど、新規参入、創業というような信用を築く前の事業者や、その業界や地域及びコミュニティから見て「よそ者」、一度限りの取引、などでは信用型取引はハードルになるだろう。
海外との取引も同様だ。
どちらが良いか悪いか、という話ではなく、取引の方法論が変遷しているうえに、特定地域やコミュニティ、特定業界、年配者には依然として信用型取引も残っているので、初回取引では、相手がどちらを求めているか、見極めた対応を推奨したい。

あるマニアの失敗談から

最近、個人的に情報収集しているFacebookのグループで、ある失敗談が報告された。

趣味で集めている高額な機器(楽器とかオーディオとかその手の分野)を中古で販売店から購入したところ、調子が悪かったらしい。
動作正常を前提に買ったので、販売店に見て貰ったところ、店側では不調が再現されないという対応で突っ返されたという話だ。

おせっかいにも、私はアドバイス?をした。
おそらくその店は、個人営業ではなく、有名チェーンでもない店で、対応した店員は「仕事をこなす」という姿勢だったであろうと指摘した。

なぜかと言うと、特に趣味の中古店というのは、個人経営なら店主が好きでやっているはずで、そうした場合「あーでもない、こーでもない」と原因を探そうとする(結果が出なくても)だろうし、信用を守ろうとして、ダメなら商品を引き取る申し出をすると考えられる。
有名店なら、店のブランドイメージを維持向上することを本部から厳命(顧客満足度向上)されているはずで、特に高級品の場合には、少なくとも顧客を失望させない対応が類推できる。

このケースは、不幸にして信用型のサービスも、今風の顧客満足度を意識したサービスのどちらの恩恵も受けず、意識の低い店員に遭遇したという事例であろう。
彼は、二度とその店から品物を購入することはなくなった。

失望している彼とのやり取りの中で、私は過去のある記憶が蘇った。
私が中堅社員だった頃、後輩社員がクレーム電話の対応に戸惑ったことがあった。
解決できそうもない問題であったので、「たとえ解決できなくても、一緒に困って、あれこれ努力する姿勢を見せれば、たぶん納得してくれる」とアドバイスし、見事にその通りとなった。

これが私の体験の第2期とすると、第1期は「顧客満足」という概念もない時代の話で、新入社員時代に、クレーム電話対応に苦慮して30分くらい話し込んだ時のものだ。
電話の途中で上司が近寄り、大声で「いいかげんにしろ!」と怒鳴っていた。
やっと解放された後に「貴重な業務時間を何分無駄にしているのだ!」と大叱責を受けた。

時代の変化をまとめるとこうなる

第1期:高度成長からバブル崩壊
「顧客のクレームなどに耳を貸すな、売ったもの勝ちだ」
※ただし、信用型なので、お得意様には丁寧に対応
第2期:バブル崩壊後から2000年代初頭
「クレームは上手に対応して納得して貰おう」
※ネットでの口コミも出てきたため、クレームを上手に抑え込む対応
第3期:少し前
「顧客満足度向上、クレームにこそビジネス向上のヒント有」
※外資系ホテルの例などが紹介され、顧客の満足度愛を高め、クレーマーにこそ耳を貸すという考え方が普及した
第4期:現在
「顧客感動!顧客に感動体験を」
※もはや、満足では差別化できず、感動する程の体験を加えることによって、ロイヤルカスタマー化し、卓越した業績向上やブランディングに繋げる
※おそらくWeb業界では、結果が数字に直結するビジネスなので、こうした「クレームを受ける前に改善する」という先回りの手法が、ABテストなどなど、定着しつつある状況と分析している。

簡単だが、私が経験した時代や価値観の変化を、上記のようにまとめてみた。
業界や社風によって多少の違いはあるだろうし、意識の低い企業や会社も存在するので、一概には言えないが、大きな流れとしてはこのように理解している。

口八丁手八丁の〇〇商人、などが誕生した明治時代や江戸時代以前の話は、それはそれで面白いのだが、今回は私の体験からまとめた次第。
なお、〇〇は「ベニスの」とかではなく日本の地域名なので、お間違いなく。

最後に、折角なので、卓越した品質向上を実践しているSpelldataに、同社の考える「顧客満足・感動」についての考え方を以下にまとめて貰いたい。
本文を書いている段階では、どうまとめていただけるか未知なので、楽しみにしている。
それを持って今回の括りとしたい。

では、また機会があれば。

Spelldataの考える顧客満足、顧客感動とは

Spelldataが考えるWebサイトの顧客満足は、以下の項目です。

Webサイトでの顧客感動は、気鋭のWeb制作会社においては、如何にビジュアル面でエッジを立てるか?という、「表現」に注力されているところが多く見られます。
しかし、品質管理の観点では、「感動」を如何に生み出すかより、「失望」を如何に生み出さないようにするかの方が重視されます。
品質管理は、「期待」に如何に応えられるか、そのバラツキのコントロールなのです。

Webサイトも、「工業製品」であることを忘れてはいけないと思います。
Webサイト制作の発注元クライアントの「期待」を上げる事と、そのクライアントのユーザの「期待」に応えることは、常に合致しているわけではありません。
Web制作会社はプロの観点で、適切な「期待」のレベルについて発注元クライアントに助言し、そちらのバラツキを抑える事に注力されるべきと考えます。

そして、「期待」を上げる程に、そのバラツキ管理の難易度は上昇していくという点は、工業製品製造に携わっている人々の間では常識であり、Web業界の人たちの間にも広く認知されるべきでしょう。

執筆者プロフィール

2001年より大手メディアサイトの改善や新規サイトの立ち上げなどに携わってきた。
キャリアの前半はアナログ時代の広告業界。
自称、失敗だらけの反面コンサル。
(誕生日を迎えて)58歳、趣味多数。


[前のページに戻る]