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広告ブロックボタン

Chromeによってブロックされる広告の種類

2017年4月20日
著者: 竹洞 陽一郎

The Wall Street Journalの2017年4月19日付の記事"Google Plans Ad-Blocking Feature in Popular Chrome Browser"によると、ついに、GoogleがChromeに広告ブロックの機能の実装を計画しているそうです。
デフォルトでOnになるそうです。

ブロックされるのは、受け入れがたい、顧客体験を悪化させるタイプの広告だそうで、Coalition for Better Ads(より良い広告のための連合)が定めた「Better Ads Standards for Desktop and Mobile Web in North America and Europe」(北米及び欧州におけるデスクトップ・モバイルWebのためのより良い広告基準)が指標となります。

Coalition for Better Adsとは

Coalition for Better Adsは、顧客体験の改善のために、オンラインメディアのエコシステムに関わる国際的な取引団体と企業によって設立されました。
メンバーには、GoogleやFacebook、ワシントンポストやトムソンロイターのような報道機関、各種広告団体がメンバーとして参加しています。

提携メンバーには、日本の公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会も入っています。
日本のWeb関係の方には、ここが運営しているWeb広告研究会の方が馴染みがあるかもしれません。

Better Ads Standards

このCoalition for Better Ads(より良い広告のための連合)が、より良い広告手法として標準化を進めているのが、「Better Ads Standard」です。
これは、オンライン市場が、より良い広告体験を提供するために前進するために、どの種類の広告が最も好まれないか、消費者の好みを計測する事で、ユーザ体験を損ねることが少ない広告手法の標準を定めるものです。

この標準は、「こういう広告手法を使うべき」という、特定の広告手法を推奨するものではありません。
「こういう広告手法は使わない方が良い」という点にフォーカスしています。

調査の第一フェーズは、北米とヨーロッパのインターネットユーザ25,000名を対象に、異なるタイプのオンライン広告の好みについて世論調査を行いました。

この調査では、各広告手法を-1から5までスコアリングしており、そのスコアリングの分散も考慮して、中央値が3以下のものについては、ユーザ体験の悪化を引き起こすため使用を避けるべきとしています。

調査結果は、Coalition for Better Adsの調査に関するページでダウンロード可能です。

Coalition for Betterでは、今後も、継続的に調査を行い、避けるべき広告手法をこの標準に追加していくそうです。

Chromeでブロックされる広告手法

Better Ads Standardで、使用すべきではないとされた広告手法は、デスクトップサイトについては4種類、モバイルサイトについては8種類です。
GoogleのChromeに搭載される広告ブロックは、このBetter Ads Standardに則って、広告をブロックします。

以下に、その広告手法を解説します。
(画像は、Coalition for Better Adsのものを使用しています。)

デスクトップサイトの場合

ポップアップ広告

ポップアップ広告は、すきま広告の一種で、文字通り、ポップアップで表示されて、ページのメインコンテンツをブロックします。
ポップアップ広告は、ページ上のコンテンツの読み込み開始された後に表示され、Webサイトの訪問者をイライラさせると一般的に言われています。
ポップアップ広告には、様々な形式があり、画面の一部に表示されることもあれば、全画面で表示されることもあります。

この広告手法でテストされたもの:カウントダウン付きポップアップ広告、カウントダウン無しポップアップ広告

デスクトップポップアップ広告

音声付きで自動再生される動画広告

これは、ユーザの操作無しに、自動的に動画が音声付で再生されるものです。

この広告は、ユーザに破壊的な経験を齎します。
ユーザの意図を何のガードもなく掴み、音声を止めるために、ブラウザのタブやウィンドウを閉じざるを得ない状況へと追い込みます。

同じ動画広告であっても、音声を聞くために、ユーザの操作を必要とするものは、この標準では問題とはしていません。

Better Ads Methodologyの調査では、まだ動画広告のプリロード(コンテンツが表示される前に動画が表示される)と、ミッドロール(コンテンツの中ほどに動画広告が表示される)については検証していません。

この広告手法でテストされたもの:音声付きで自動再生される動画

音声付きで自動再生されるデスクトップ動画広告

カウントダウン付きPresitial広告

Presitial広告とは、コンテンツが記載されたページが読み込まれる前に、カウントダウンで強制的に広告ページを見せる手法です。
そのカウントダウンの秒数を待てば、自動的に閉じるか、自分でボタンをクリックして閉じることが可能となります。
日本でも、とあるメディアで使われていますね。

この広告手法は、ユーザにコンテンツを読むためにカウントダウンの終了を待たせる事で、ユーザに読む気を失わせる点で破壊的です。

デスクトップ環境向けのカウントダウンがついていないPresitial広告は、この標準では問題としていません。

カウントダウン付きPresitial広告

大きな貼り付き広告

大きな貼り付き広告は、ユーザがスクロールしようがしまいが、ページの端に定常的に表示される広告です。
ユーザがページを閲覧しても、この静的で、不動な広告は、常に画面の30%ぐらいの面積を占めて表示されます。

大きな貼り付き広告は、ユーザがページのどこを閲覧していようが、お構いなしにページビューの場所を占有し続けることで、阻害要因となります。

よく、あるオンラインマンガサイトの広告が、この手法で表示されますが、ユーザには嫌われています。
手法もさることながら、内容が淫らなものが多く、ニュースサイトでも表示されるため、子供がいる家庭では、そういうサイトは二度と閲覧しないという人も多いです。

この広告手法でテストされたもの:画面の下970x250の貼り付き広告、画面の下580x400の貼り付き広告

デスクトップの大きな貼り付き広告

モバイルサイトの場合

ポップアップ広告

これはデスクトップと同様のポップアップ広告です。

モバイルポップアップ広告

Presitial広告

これはデスクトップと同様のPresitial広告なのですが、モバイルサイトについては、カウントダウンがあっても、なくても、避けるべき広告手法とされています。

モバイルPresitial広告

画面の30%以上を占める広告

ページのメインコンテンツの高さの30%以上を占める広告は、テキストであれ、動画であれ、静的画像であれ、結果的には破壊的な広告体験となります。
これには、常に付きまとう画像広告や、インライン広告も含みます。

この手の広告は、モバイル端末上でテキストコンテンツに集中するのを難しくし、ユーザをフラストレーションへと陥らせます。

この広告手法でテストされたもの:50%の単一コラムでの広告、35%の単一コラムでの広告、30%の単一コラムでの広告

画面の30%以上を占める広告

点滅するアニメーション広告

広告の背景や色が素早く変わって点滅するアニメーション広告は、消費者をとてもイライラさせます。
ページ上のコンテンツを読むことを非常に難しくさせるのです。

点滅しないアニメーション広告については、この標準では問題としていません。

点滅するアニメーション

音声付きで自動再生される動画広告

これはデスクトップと同様の音声付きで自動再生される動画広告です。

音声付きで自動再生されるモバイル動画広告

カウントダウン付き位置連動広告

これはデスクトップと同様のカウントダウン付きPresitial広告に似ています。
違う点は、ユーザがリンクした後に、その場所に広告が表示される点です。

カウントダウンがついていない位置連動広告は、この標準では問題としていません。

カウントダウン付き位置連動広告

フルスクリーンスクロールオーバー広告

フルスクリーンスクロールオーバー広告は、コンテンツの冒頭に表示され、ユーザにスクロールすることを強います。
この広告は、ページの30%以上の大きさを占め、メインコンテンツのトップに位置し、コンテンツが目に入ることを阻害します。
その結果、ユーザが閲覧しようとしているコンテンツを隠してしまい、ユーザを妨害することになります。

この広告手法は、コンテンツの中のインライン広告とは異なります。
コンテンツの中のインライン広告は、スクロールがよりスムーズに、広告を画面から見えない場所へと移動できます。

フルスクリーンスクロールオーバー広告

大きな貼り付き広告

これはデスクトップと同様の大きな貼り付き広告です。

この広告手法でテストされたもの:ボタンの上に貼り付けられた大きな広告

モバイルの大きな貼り付き広告

Googleが広告体験改善について、約束を果たす

2015年のGoogleの年次株主総会で「Ad Blocker(広告ブロック)のアドオンをどう思うか?」という質問に対して、共同創業者ラリー・ペイジ氏は、以下のように答えています。
("Google's Larry Page was asked whether he was worried about the rise of ad blockers — here's what he said")

人をイライラさせない、もっと素早く読み込まれる、より良い広告を、業界としては作らなくちゃ。

Googleは、それ以降、AMP(Accelerated Mobile Pages)を開発して発表したり、Ad Fraud(広告詐欺)問題に対応したり、オンライン広告の闇を払拭するための施策を打ってきました。
そして、オンライン広告の改善のための団体として設立されたCoalition for Better Adsにも参画し、そこが制定したBetter Ads Standardsという標準に則って、相応しくない広告をブロックする機能をChromeに実装します。

Googleは、着実に、確実に、改善の道筋を進んでいると思います。

広告体験の改善のボールは、Webサイト運営側へ

The Wall Street Journalの記事では、Googleが実装方式として、もう一つの可能性として、個別の広告毎にブロックせず、不快な広告があればすべての広告をブロックする方式を検討していると書いていました。
もし、この方式が採用されると、Webサイト運営者は、サイト上の広告が全て基準に合致しているかどうかを確認することが求められるようになります。
一つでも、Webページ上で、不適切な広告が表示されると、残りの全ての広告がChromeによってブロックされることになります。

広告収入を得ているメディアやブロガーなども、何でもかんでも、オンライン広告を掲載するのではなく、掲載する広告の「質」を考えなければいけない刻を迎えつつあるようです。


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